承継への不安とその答え
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この記事でわかること
- 医業M&Aに対して医師が抱きやすい不安とその解消法
- 家族が承継できない場合の現代的な考え方と選択肢
- スタッフや患者への影響を最小限に抑える承継の進め方
- 承継後のキャリアや地域医療との関わり方の可能性
M&Aに対するよくある3つの不安
本当に買い手が見つかるのか?
「この場所、この規模で買い手が見つかるのだろうか」と心配される方は多いようです。確かに地域や診療科によって状況は異なりますが、近年では「ゼロからの開業ではなく、既存のクリニックを引き継ぎたい」と考える勤務医や法人も増えています。
診療実績や立地、組織体制などが評価のポイントになるため、自院の魅力を客観的に整理して開示することで、買い手の選択肢が広がるケースも多くあります。
患者さんやスタッフにどう思われるか?
「M&Aを選んだことで、患者やスタッフに『見捨てられた』と思われるのではないか」と心配される方もいます。しかし、実際には診療が継続されることを喜ぶ声のほうが多く、突然に閉院することに比べれば患者の安心感はまったく違います。スタッフにとっても、自院の今後が見えることは働く上での安心材料になります。大切なのは、早めの誠実な説明と丁寧な引き継ぎです。
そもそもM&Aで本当に地域医療は続くのか?
「売却は責任を放棄することにならないか」と葛藤する声も聞かれます。しかし、厚生労働省の「地域医療構想」においても、承継は地域の医療供給体制を維持する上での重要な手段として位置づけられています。
医師不足が深刻な地域では、クリニックがひとつなくなるだけでも大きな影響があります。M&Aは、次の担い手に地域医療を託すという責任ある選択なのです。
家族に継がせられないことへの罪悪感
「子どもに無理をさせない選択」という視点
かつては「医院は院長の子どもが継ぐもの」という価値観が一般的でした。しかし、現代では医師の子どもが必ずしも医師を志すとは限らず、別の道を選ぶケースも多くなっています。家族の意思を尊重し、「無理に継がせない」という判断は、現代的な親の姿ともいえるでしょう。
家族の人生と自分の想いを整理する
「本当は継いでほしかった」「でも、あの子にはあの子の人生がある」そんな思いを抱える開業医も多くいます。 大切なのは、自分の気持ちと家族の意思をすり合わせ、納得できる道を選択することです。承継について家族でじっくり話し合う機会を持つだけでも、気持ちが整理されるかもしれません。
第三者承継で家族の負担を減らす
親族承継が難しい場合、第三者に託すことで家族に無理な責任を負わせることなく、自院を次の世代につなぐ道が開けます。 第三者承継は、相続対策や老後の生活設計という面でも選択肢になり得ます。家族の将来を考えるからこそ、M&Aという選択に目を向ける開業医も増えています。
スタッフ・患者が離れてしまう不安
なぜスタッフの離職が起きるのか?
承継の話を切り出すと、スタッフが不安になって辞めてしまうのではないかと心配される方も多いようです。実際のところ、離職の原因は「何も知らされないこと」や「突然の通告」による不安感からくるケースが少なくありません。タイミングを見計らって誠実に説明すれば、スタッフの不安は最小限に抑えられるでしょう。
一般スタッフへの開示は最終譲渡成立後速やかに実施しましょう。そのためには、譲渡前からの準備が大切です。
患者さんの「通い慣れた場所を失わない」安心感
「先生がいなくなるなら、もう来ないかもしれない」、患者がそう思うのではないかと不安になるかもしれません。しかし、患者にとって大切なのは、医師個人に対する信頼もさることながら、通い慣れた安心できるクリニックが続いていくことです。引き継ぎ先の医師の紹介や継続診療への配慮があれば、新たな診療体制を歓迎してくれる患者は多いはずです。
安心してもらうための進め方
承継をスムーズに進めるためには、「誰に、いつ、どう伝えるか」が重要なポイントになります。スタッフには事前に説明と相談の場を設け、将来の労働環境や雇用条件が変わらないことを明確に伝えましょう。
また、患者には段階的にアナウンスし、前院長が一定期間残ってサポートすれば移行期間の不安を軽減できます。 適切な配慮さえあれば、承継は「終わり」ではなく「継続」として受け入れられるでしょう。
自分が「辞める」という感覚への抵抗
「承継=即引退」ではない
M&Aと聞くと「売れたらすぐに引退しなければならないのでは」と思われるかもしれませんが、そうとは限りません。引き継ぎ期間を設け、一定期間は勤務医として残ることで、患者との信頼関係を守りながら次世代にバトンを渡すことが可能です。段階的に役割を移していけば、自分自身もゆるやかに気持ちを整理していけるのではないでしょうか。
承継後の「新しい役割」を考える
承継後は医療の現場から完全に身を引くのではなく、非常勤医師や顧問医、あるいは地域医療のサポート役として仕事を続ける方も少なくありません。これまで培ってきた経験やネットワークを活かして後継医の支援に回ることも、地域貢献のひとつの形といえます。
承継=終わりではなく「次のステージ」として捉える、それも医師としての役割を果たすことにつながるはずです。
医師としてのキャリアと人生の整理
長年続けてきた仕事を手放すのは、大きな心理的ハードルになるでしょう。一方で、人生の後半をどう過ごしたいかを見つめ直す機会でもあります。自分自身の健康や家族との時間、趣味や社会貢献など、第二の人生の過ごし方を考えることで、承継という選択に前向きな意味を見出すことができるかもしれません。
不安を整理してみる:心・組織・地域の視点
心:自分自身の気持ち
「いつまで診療を続けたいのか」「何を大切にしたいのか」等々、まずは自分自身の本音と向き合うことが承継準備の第一歩です。もやもやした気持ちのままでは判断も先送りになりがちですが、「引退後にどんな暮らしをしたいか」を想像するだけでも、気持ちが少しずつ固まっていくかもしれません。
組織:スタッフと患者への影響
承継は経営者の交代ですから、スタッフや患者にとっても大きな出来事です。しかし、「診療が止まる」という事態に比べれば、当然ながら引き継ぎがきちんと行なわれるほうが安心です。
事前にクリニックの方針やビジョンを整理し、新しい体制での診療や雇用がどう続いていくのかを明確にすることが、周囲からの信頼を得るカギになります。
地域:診療所が地域に果たす役割
多くの開業医にとって、地域医療への貢献は仕事そのものの意味と結びついています。承継しない場合、クリニックが閉院することで医療空白が生じ、地域住民の生活にも影響が出る可能性があります。
逆にいえば、承継を通じてクリニックを残すことは、地域への責任を果たす行動でもあります。自院の役割を見つめ直し、「何を残したいのか」を考えることが、承継の意思決定を後押ししてくれるかもしれません。
「子どもが継がない」とわかったら最初に読むページ
クリニックや病院における第三者承継にはさまざまな事情がありますが、「後継ぎがいない」「子どもが承継拒否をする」といった状況は昨今珍しい話ではありません。継ぐものがいない場合、第三者承継はとても有力な選択肢です。
医業の第三者承継は廃業と異なり、診療による地域医療の継続やスタッフ雇用を守れるだけでなく、理念も引き継ぐことができます。 まずは、感情的に動かず、資産や経営状況を客観的に把握し、信頼できる専門家に相談することが後悔しない承継への第一歩。どのような準備をすればよいのか、以下のページでわかりやすくまとめています。
スタッフや患者への影響は?M&A後のリアル
医業承継は、廃業と異なり、診療体制や患者・スタッフとの関係を維持したまま移行するプロセスです。経営権だけでなく、診療スタイルや院長の理念といった「見えない資産」の引き継ぎも重要です。
スタッフを不安にさせないためには、「伝える順序」と「説明の質」が大切です。丁寧な説明や、スムーズな引き継ぎ期間を確保することが成功の鍵となります。以下のページで詳しくまとめています。
医業M&Aにはさまざまな不安が伴いますが、丁寧な準備と説明によって多くは解消できます。子どもが承継しないことも珍しくない今、第三者承継は家族や地域への責任を果たす選択肢です。
承継は「終わり」ではなく、医師としての新たなステージの始まり。心・組織・地域それぞれの視点で気持ちを整理することで、自分にとって最良の道が見えてくるはずです。
SAコーポレーション
12年クリニック運営を経験し、その後M&Aを行った宮﨑医師が、自分自身の経験をもとに、「医師が満足できる、幸せになれる医業承継を実現したい」とSAコーポレーションを設立。
十分な準備期間を経て、クリニックの価値を上げたうえで行うM&Aを提唱し、その情報発信やサポートを行っています。
