医業M&Aと廃業、どちらが得か?比較と判断軸
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この記事でわかること
- 医院を廃業する場合に必要な手続きや負担
- M&Aによる承継のメリットと進め方
- 廃業とM&Aの費用・手間・影響の比較ポイント
- M&Aが向いている医院・向いていない医院の特徴
廃業とM&A、
実際に何がどう違うのか?
そもそも廃業とはどういう手続きか
一般企業とは異なり、医院の廃業は医療機関ならではの手続きが必要です。
まず、所轄行政に対する「廃止届」の提出や、保険医療機関・診療報酬に関する指定取り消し、医療機器や薬品の処分、カルテの保管対応などが求められます。さらに、医師会や関係団体との関係整理など業界特有のフローも多く、それらは想像以上に煩雑です。
スタッフの解雇手続きや退職金の支給など、雇用に関する整理も同時並行で進めなければならず、経営者である院長にとって大きな精神的・事務的負担を伴う選択肢といえるでしょう。
M&Aを選ぶと何が変わるのか
M&Aによる事業承継では、診療機能を地域に残したまま院長が引退できるというメリットがあります。
医院の経営母体が引き継がれることでスタッフの雇用が継続され、患者も変わらず通院できるという安心感があります。また、不動産や医療機器といった経営資産の承継も可能で、物理的にも診療体制が保たれます。
M&Aは仲介会社のサポートが入ることで、手続きも比較的スムーズに進められるため、院長が現場に立ちながらでも段階的に移行できます。
どちらも「院長のゴール」次第
廃業とM&A、どちらを選ぶべきかは「院長自身がどのような引退を望むのか」によって変わってきます。「きっぱりと閉院して自由な時間を持ちたい」という方もいれば、「これまで築いてきた医院や地域医療を未来につなげたい」と考える方もいらっしゃるでしょう。
重要なのは、経済面や手続きの負担だけではなく、自身の価値観や人生設計に照らして、より良い選択肢を見極めることです。
費用面・手間・職員対応
・患者への影響
廃業にかかるコストと手間
医院の廃業には、思いのほか多くの費用と手間が発生します。まず賃貸物件であれば原状回復工事が必要となり、それが数百万円規模になることも珍しくありません。
医療機器の処分や廃棄にも専門業者の関与が必要で、リース契約中であれば中途解約金がかかる場合もあります。さらに、スタッフを解雇する場合には退職金の支給や社会保険・雇用保険の手続きなど、煩雑かつ負担の大きい事務処理が求められます。
M&Aの費用と進め方のイメージ
M&Aを選んだ場合、仲介会社への手数料など一定の費用はかかりますが、多くの場合は譲渡対価を得ることで結果として経済的にプラスになります。
廃業に伴う賃貸物件の原状回復や機器処分のコスト、スタッフ解雇の退職金支給に要する費用もM&Aによって回避できるので、トータルで見るとプラスになるケースが多くなるのです。手続きについても、仲介会社が間に入ることでスムーズに進み、専門的な手配も任せられます。
スタッフ・患者へのインパクト
廃業の場合、スタッフは新たな就職先を探さなければならず、生活やキャリアに大きな影響が及びます。患者にとっても突然の診療終了は大きなストレスであり、新たな医療機関への移行には不安や混乱が伴います。
一方、M&Aによる承継であれば、スタッフの雇用継続や患者の診療継続が可能であり、これまでの医療環境を守れます。このような社会的なインパクトの違いも、検討の際の重要な要素です。
負担が少ないのはどちらか?
費用の多寡だけではなく、精神的・時間的な負担という観点でも大きな違いがあります。
廃業ではすべてを自分で整理・判断しなければならず、慣れない手続きや対人調整のストレスも積み重なりがちです。それに対してM&Aは、プロのサポートを受けながら段階的に移行できるため、院長の負担は軽減されます。総合的に見て、「負担が少ないのはどちらか」を考えることが後悔しない選択の第一歩です。
M&Aの方が向いているケース
/向いていないケース
M&Aが向いているのはこんな医院
まずは「立地が良い」ことです。
都市部や交通アクセスに優れた場所の医院は、承継後も集患しやすく、買い手のニーズも高まります。そして「患者数が安定していること」も重要です。特定の疾患・診療科に偏らず、一定の地域密着型診療を行なわれていれば、後継者も運営を引き継ぎやすくなります。
また、「スタッフが安定していること」も評価のポイントです。
経験豊富なスタッフが残れば引き継ぎも円滑に進み、患者との信頼関係も維持されやすくなります。さらに、過疎地であっても地域の医療ニーズが高ければ、公的支援や地元自治体の協力を得られるケースもあり、M&Aも前向きに進みます。
M&Aが難しいのはどんなケースか
M&Aの実現が難しいケースの筆頭は、極端な赤字経営が続いている医院です。
継続性が見込めないと判断されれば、当然ながら買い手もつきません。また、診療内容が特殊すぎる場合や、地域に後継候補となる医師がまったくいない場合も承継は難航します。
また、高度な専門医療に特化している医院のケースです。
後継者が同レベルの医療水準で引き継ぐのが困難であれば、患者の離脱が懸念されることからM&Aも難しいと言わざるを得ません。
準備で変わることもある
医院の現状がそのままM&Aの成否を決定づけるとは限りません。
赤字経営でも経営改善を行ない、財務状況を整理することで、数年後に買い手が現れるケースもあります。また、診療・経営に関する書類や設備、スタッフの体制などを整理することで、買い手からの「見え方」が大きく変わり、評価が高まることもあります。
M&Aは「今すぐ売れるかどうか」だけではなく、「どう準備するか」によって選択肢が広がるプロセスです。将来的な承継を視野に入れ、早い段階から専門家に相談して整備を進めていくことが成功のカギを握っています。
実際の相談から見えてきた
判断軸
後悔しないための3つの視点
廃業かM&Aかを検討する際に意識したいのが、「経済面」「精神面」「時間軸」という3つの視点です。
経済面では、廃業に伴う原状回復費用や退職金、M&Aによる譲渡対価など、金銭的な収支を比較する必要があります。精神面では、患者やスタッフに対する責任や、これまで築いてきた地域との関係性をどう引き継ぐかという点が問われます。
そして、時間軸では「今すぐ引退したいのか」「数年後でもいいのか」といったライフプランとの整合が重要になってきます。この3つを整理することで、自身にとって後悔のない選択肢が見えてくるはずです。
一人で結論を出さない
最終的な決断は院長自身のものですが、一人で抱え込む必要はありません。税務や法務、医業経営の専門家のアドバイスを受けることで、自分だけでは気づけなかった選択肢が見えることもあるからです。
「赤字だから無理」と思っていたが改善余地があるとわかったり、地域に買い手はいないと決めつけていたが遠方から買い手が現れたり、というケースもあります。
判断に迷ったときは、まずは信頼できる専門家に相談してみることをおすすめします。
医院の廃業とM&Aは、それぞれに異なる手続きや影響があります。M&Aは経済的・社会的負担を軽減し、地域医療を継続できる手段として注目される一方、廃業には煩雑な処理や周囲への影響が伴います。自身のライフプランや医院の状況をもとに、経済面・精神面・時間軸の3視点から判断し、信頼できる専門家とともに最適な選択を目指すことが大切です。

SAコーポレーション
12年クリニック運営を経験し、その後M&Aを行った宮﨑医師が、自分自身の経験をもとに、「医師が満足できる、幸せになれる医業承継を実現したい」とSAコーポレーションを設立。
十分な準備期間を経て、クリニックの価値を上げたうえで行うM&Aを提唱し、その情報発信やサポートを行っています。
