M&Aに大きな後悔を抱えている医師
当サイトは株式会社SAコーポレーションをスポンサーとしてZenken株式会社が運営しています。
後継者不在やM&Aへの漠然とした不安を抱える医師は少なくありません。このページでは、クリニックの売却を決意したものの、その医業承継に大きな後悔を抱えている医師に話を聞きました。自身の苦い経験を通して、M&Aを考えている医師が知っておくべき「真実」を語ります。
承継を決意した理由とは
理由はいくつかあります。まず、当初は有床診療所として、手術も行いながら、ワンストップで医療を提供したいという希望で開業しました。しかし、人手不足が深刻になり、だんだんと手術ができなくなってしまいました。
その代わりに外来診療に力を入れ始めたところ、患者さんがどんどん増えすぎてしまい、まるで「ライン作業のように」毎日大量の患者さんをさばくことに、医者としてのやりがいを見出せなくなってしまったのです。一人の患者さんに十分な時間をかけることができなくなり、その結果、Googleの口コミで「話を聞かない」といったネガティブな意見が増えてしまいました。
また、後継者がいないことも大きな理由でした。娘は一人いますが薬剤師で、医師とは結婚したくないと言って、医療とは全く畑の違う男性と結婚しました。私としては、医師の婿を取ってクリニックを継いでもらいたいという希望もありましたが、親の思い通りにはいかないものですね。
私のクリニックは小さな規模ではなく、職員が30人近くおり、一日に300人もの患者さんが来院します。このような状況で、もし私に何かあった場合に誰も後を継いでくれる人がいないとなると、非常に困るだろうと考え、事業承継を決意しました。
税理士法人の紹介で
仲介会社に依頼
最近よく聞くようになったM&Aという選択肢に目が留まりました。昔はあまりなかった医業承継の形ですよね。そこで、まず有名な医業特化のM&A仲介サービスに、とりあえず「ちょっと話を聞いてみようかな」と思って問い合わせてみました。
そのM&A仲介サービスから少し話を聞いている段階で、長年お世話になっていた顧問税理士法人から連絡があり、「うちのグループ会社のM&A仲介会社を使ってくれないか」と打診されたんです。日頃からうちのクリニックの状況をよく理解してくれている税理士法人でしたから、「自分のところの内容もよく分かっているだろうし、そこにお願いするのが一番スムーズかな」と考えて、その顧問税理士法人にM&Aの仲介をお願いすることにしたんですね。結果的には、それが色々と悔いの残る結果になったのですが…。
後悔の数々…
仲介会社との苦い経験
たくさんありすぎて、どこから話せばいいのかという感じなんですが、今回の医業承継は「人生最大の失敗だったな」と今でも思っていますよ。まず、M&A仲介会社のことですね。長年お世話になっていた顧問税理士法人の子会社だから大丈夫だろうと思って依頼したのですが、結局は「全くの別会社」で、蓋を開けてみれば「デメリットの方が多かった」と感じています。日本のM&A業界の慣習として、一人の仲介者が売り手と買い手の「両者の仲介をするという非常に日本独特のその形態」なんですよね。欧米のようにそれぞれに代理人がつくのとは違う。だから結局、「会社の利益になるように話は進んでいく」んです。仲介手数料もびっくりするような金額で、両手から取られていることに本当に憤りを感じましたよ。僕から取るだけでなく、買い手からも同じように取っていたんですからね。
それから、買い手側のデューデリジェンスが不足しているという点も後悔しています。仲介会社は「守秘義務」を盾に、買い手がどういう人かという情報を、私にあまり調査させようとしなかったんです。結局、後になってその買い手がとんでもないクリニックだったということが分かって、本当に悔しい思いをしました。
口約束も散々でした。「僕のやりたい医療を少しだけそこでやらせてもらう」という話があったのに、それは契約書には反映されず、結局反故にされました。具体的には、譲渡後は「予約外来で自分の専門の疾患の患者さんだけ見せてもらう」というのが最初の希望だったのに、結局はやらせてもらえませんでした。僕の高校の同級生の医者も同じような目に遭って、「約束を守ってくれない」などの問題で、結局譲渡先のクリニックを「首になった」という話も聞いたことがあったのですが、まさか自分も同じことになるとは思わなかったですね。
現在は別のクリニックで希望の診療ができていることだけが救いです。
金銭的な不利益もたくさんありました。職員の退職金引当金を譲渡資金の中から法人に残すよう仲介会社に言われて、その通りにしたのですが、いざ退職者が出た時に、仲介会社も今の経営者も「それは参考にするだけだ」と、主張し、約束通りの金額が支払われなかったんです。引当金として残したのに、です。ひどい話でしょう。
営業権(のれん代)のこともそうです。仲介会社から「一般的にM&Aは1年分です」と言われたら、こっちは素人なので「ああ、そうなんですか」と受け入れてしまうじゃないですか。でも実際は3年分とか5年分の利益を要求できる可能性もあったのに、それを知らなかったばかりに不利益な条件で合意してしまいました。
出資金についても頭にきましたね。法人の株について、買い手の負担を減らすためという理由で「一株1円にしてください」と指示されました。その分、こっちは余分に税金を払うことになるのに、買い手は資金を用意しなくて済むという形です。これも「この業界では普通なんです」と言われれば、知識がないから「そうなのかな」と思ってしまうんですよね。本当に知らないことにつけ込んでくるんですよ。
後悔を防ぐために
医師に伝えたいこと
今回の経験を通じて、私が強く感じたのは、医師のM&Aにおける真の代理人の必要性です。現状の日本の商習慣では、不動産やM&Aでも代理人が一人で売り手と買い手の両方を仲介する形が一般的ですが、これでは依頼人(特に売り手である医師側)の利益が守られにくいと感じています。欧米のように、売り手と買い手それぞれに代理人がつき、その代理人同士が交渉するスタイルが本来あるべき姿だと思います。
M&A仲介会社は、買い手側や自社の利益になるように話を進める傾向が強く、売り手の立場が完全に相手サイドにあると感じました。買い手側は資金的に恵まれていることが多く、売り手側は不利な交渉を強いられがちです。
だからこそ医師の味方となり、M&Aに関する知識を持って仲介会社と対等に交渉できる代理人が本当に必要です。医者は医療の分野には強いですが、法律や金融といった世間の常識に対するリテラシーが低い傾向があります。この知識不足がM&Aにおいてつけ込まれやすい現状があります。
また、売り手側も買い手側について、十分なデューデリジェンス(調査)ができる仕組みが必要です。守秘義務を盾に、買い手の人物像や実態について十分に調査できないことが、後々の契約不履行やトラブルに繋がります。地域で評判が良い医者であっても、その人が経営者として、あるいは人間としてどういう人物なのかは、一緒に働いてみないと分かりません。
営業権や出資金の評価額についても、仲介会社が「一般的」と提示する条件が、必ずしも売り手にとって公平とは限りません。知らないことをいいことに、不利な条件を飲まされてしまうことが多々あります。
私の苦い経験を踏まえ、M&Aで後悔する医師が一人でも減るように、医師サイドの真の代理人として、M&A仲介会社と交渉できる専門家の存在、そしてそのようなサービスが広くM&Aを考えている医師に認知されることが重要だと強く思います。それが、本来あるべきM&Aの姿を実現し、医師が安心して事業承継できる土壌を作ることに繋がると信じています。
SAコーポレーション
12年クリニック運営を経験し、その後M&Aを行った宮﨑医師が、自分自身の経験をもとに、「医師が満足できる、幸せになれる医業承継を実現したい」とSAコーポレーションを設立。
十分な準備期間を経て、クリニックの価値を上げたうえで行うM&Aを提唱し、その情報発信やサポートを行っています。

SAコーポレーション
医師の知識不足につけ込む業者が悪い
医業承継の世界には、不透明な慣習や知識不足につけ込む業者が存在し、結果として多くの医師が後悔を抱えています。私自身、12年間のクリニック運営を経てM&Aを経験し、その過程で「売り手である医師の味方になってくれる専門家が必要だ」と痛感しました。
日本のM&A業界では、一人の仲介者が売り手と買い手の双方を取り持つ「両手型仲介」が一般的です。しかし、この仕組みでは依頼人、特に売り手である医師の立場が軽視されやすく、交渉の主導権を失ってしまいます。仲介会社は自社の利益や買い手の都合を優先して話を進める傾向が強く、その結果、売り手は意思決定から蚊帳の外に置かれ、気づけば不利な条件で合意せざるを得ない状況に追い込まれることも少なくありません。
だからこそ、医師の味方となり、M&Aに関する知識を持って対等に交渉できる「真の代理人」の存在が不可欠です。医者は医療の分野には強いですが、法律や金融といった分野においては専門家ではありません。この知識不足がM&Aにおいてつけ込まれやすい現状があります。
私は自身の経験をもとに、M&Aで後悔する医師を一人でも減らし、「医師が満足でき、幸せになれる医業承継」を実現したいと考えています。そのため、十分な準備期間を経てクリニックの価値を上げる「イグジット経営」を提唱し、その情報発信とサポートを行っています。