医業M&Aの仲介会社の選び方
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この記事でわかること
- 医業M&Aにおける仲介会社の役割と実務範囲
- 医業に特化したM&A仲介会社を選ぶべき理由
- 仲介会社を選ぶ際に確認すべきチェックポイント
- 仲介会社とのトラブルを防ぐための注意点と質問事項
医業M&Aの仲介とは?
役割と関与範囲
医業M&A特化の仲介と
一般M&A仲介の違い
医業M&Aは一般的な企業買収とは異なり、医療機関特有の許認可や地域医療との調整が必要です。
たとえば、管理者変更の手続きや医師会・自治体との調整、保険診療に関する引き継ぎなど、各種制度への理解なしでは進めにくい点が多く存在します。そのため、医業M&Aに特化した仲介会社は専門知識を活かし、スムーズな承継をサポートしています。
「仲介」と「フィナンシャル・アドバイザー(FA)」の違い
医業M&Aは、一般的な事業譲渡とは異なり、医療法やMS法人などが絡む複雑なスキームが特徴といえます。その中で、「仲介」は、売り手と買い手の間に立ち、中立的な立場で条件を調整するという役割を持っています。これに対して「ファイナンシャルアドバイザー(FA)」は、依頼主の利益を最大化するために助言を行うという立ち位置になります。
仲介の場合には双方の妥協点を見つけながら条件調整を進めていく上で成約率を高めやすい一方、ファイナンシャルアドバイザーは利益相反を防ぎたい場合に選ばれます。ただし、双方がファイナンシャルアドバイザーを雇った場合にはコストが重なる傾向があります。
仲介業者が実際にしてくれること
医業M&Aの仲介会社が担うのは、買い手探しだけではありません。双方の秘密保持契約(NDA)から相手先の選定、財務・法務・事業のデューデリジェンス、条件交渉、基本合意書・最終契約書の作成支援、クロージング(契約完了)に至るまでを一括でサポートしてくれます。
仲介会社によっては、スタッフの引き継ぎや診療体制の維持、行政との連携対応など、実務的な支援にも応じます。
信頼できる仲介会社は、単なる「取り次ぎ役」ではなく、経営と現場の両方を支えてくれる存在なのです。
成功報酬型と固定費型の違い
仲介会社の報酬体系には「成功報酬型」と「固定費型」があり、それぞれに特徴があります。報酬体系や契約条件を事前に確認し、いかに納得して依頼できるかがポイントです。
成功報酬型
M&Aにおける手数料は、成約時に支払う「成功報酬型」が主流となっています。この時の成功報酬を計算する場合には、譲渡価格を報酬の基準とする「レーマン方式」が代表的な手法として用いられています。この方法は取引規模に応じて手数料率を段階的に変動させる累進的な構造である点が大きな特徴であり、手数料を事前に見積ることができる点がメリットです。
レーマン方式の基本の計算式は「成功報酬の金額=譲渡価格×報酬率」となっていますが、ここでは譲渡価格の定義に注意する必要があります。これは医療法人の場合、「預貯金や負債を価格に含めるのか」「純資産のみとするのか」によって手数料が大きく変わってくるためです。
固定費型
固定費型は着手金や月額費用が発生しますが、成約時の支払い額は抑えられるケースが多いのがメリットです。計画的な予算管理に適しています。
クリニックM&A仲介会社の選びの
5つのポイント
医療業界への専門性(医療法・行政手続きへの詳しさ)
M&A仲介会社を選ぶ際には、まず医療業界への専門性について十分に確認しておく必要があります。医療法(持分あり・なし)、MS法人のスキームなど、医業特有の知識が求められます。特に、保健所や厚生局への手続きは複雑になりますが、手続きを誤ってしまった場合には保険診療の空白期間が発生するなど大きな影響になるため、手続きに関して精通しているかどうかも判断基準になります。もしM&Aの経験が豊富だったとしても、医業特有の法規制や手続きに疎い会社は避けた方が無難であるといえます。
クリニック承継の実績数と得意な診療科
病院とクリニックでは、商圏や経営モデルが全く異なります。この点から、クリニックの承継の場合には小規模診療所に関する承継実績が豊富かどうかを十分に確認することが重要です。
また、歯科や透析科、訪問診療などの場合には特殊な設備やオペレーションを伴うため、特定の科目への強みを持つ会社であれば、買い手への訴求力を高められると考えられます。過去に自院と同様の診療科での成約事例があるかを確認してみることがおすすめです。
手数料体系の透明性(着手金・中間金・最低成功報酬)
仲介会社を選ぶ際には、「手数料体系の透明性」も重要なポイントです。着手金や中間金のほか、月額顧問料や成約しなかった場合における手数料負担の有無といったように「隠れたコスト」の確認も大切です。また、M&Aを進める上で重要となってくるのが「最低成功報酬」の設定です。例えば「500万円〜」といったように、小規模案件の場合には最低成功報酬の設定により割高になる可能性があるため、この部分についてもあらかじめの確認が大切です。
買い手ネットワークの質とマッチングの速さ
仲介会社を選択する際には、「どのような買い手ネットワークを持っているか」という点もポイントとなってきます。登録されている医師数だけではなく、医療法人や新規参入を検討している企業などとのコネクションの広さが重要です。広いネットワークを持っていれば、より良い条件で譲渡できる可能性が高まることが期待できます。
また、初回相談から候補者のリストアップまでのスピードが早い仲介会社の場合には、スピーディーな承継を実現するための能力が高いと予想できます。
中小企業庁「M&A支援機関登録制度」への登録有無
信頼性を確認するための指標として、国が定めている「M&A支援機関登録制度」への登録有無を確認してください。この登録は、支援機関が国の定めている行動指針を遵守している点の証明となり、不適切な勧誘や強引な契約を防げるといえます。また、国が実施している補助金を利用する場合にも、M&A支援機関登録制度の登録機関による支援を受けていることが前提条件となるケースが多いため、費用負担を軽減したい場合にもチェックしておく項目です。
実績や専門性のある会社と
そうでない会社の違い
「安さ」だけで選んではいけない理由
仲介会社を選ぶ際、「手数料が安いから」という理由だけで決めてしまうのは危険です。一見して費用負担が抑えられるように思えても、なかなか買い手が見つからずに長期化したり、成約しても条件調整が不十分でトラブルに発展したりすると、結果として余計なコストがかかります。
また、価格交渉力や業界ネットワークが乏しい仲介会社では、適正な価格で売却できないリスクもあります。「安かろう悪かろう」にならないよう、費用だけではなく実績や支援内容も見極めなければなりません。
医療特有の許認可や保健所対応の有無
医業M&Aには、一般企業の売却にはない多くの行政手続きが必要です。さまざまな行政の許認可や保健所との連絡調整など、医療機関ごとの診療体制や地域医療構想との整合性を意識した対応が求められます。
経験のない仲介会社では、必要な手続きが漏れたり、書類の不備でスケジュールが遅れたりするリスクがあります。医療制度に明るくない仲介会社では、そうした対応が後手に回るかもしれません。
仲介会社によるトラブルの例
- 秘密保持の甘さからおきたトラブル
仲介会社の秘密保持の徹底が不十分だったことにより、「売却を検討していること」が地域に広まってしまい、スタッフの不安や患者離脱を招いた。 - 現状認識の甘さからおきたトラブル
診療報酬に関する現状認識が甘かったことにより、買い手が想定していた収益性とのギャップによって契約破談になった。
経験豊富な仲介会社であれば、こうしたリスクへ予防策を事前に講じています。経験の浅い仲介会社と比べると、想定外のトラブルが起きた際の対応力に大きな差が出ます。
相談時に聞くべきことリスト
過去の医業M&A実績を確認する
仲介会社に相談する際は、まず「医業M&Aの実績」がどれだけあるかを確認しましょう。単に件数だけではなく、自院と同じような規模や診療科、立地条件等の取り引き実績があるか、具体的に聞くことが大切です。
たとえば、「自院と同じく内科で郊外型クリニックの事例」など、類似性の高い事例があれば、自院にもマッチした進め方が期待できます。担当者がすぐに実例を挙げられるかどうかも、経験値の目安になります。
買い手のネットワークとマッチング方法
「どこから買い手の候補を探してくるのか」「医療法人、個人、ファンドなど、どのような層にアプローチしているのか」といったネットワークの広さは、M&A成立の可能性に直結します。
また、「マッチングまでの期間は平均してどのくらいか」「非公開での交渉は可能か」など、想定スケジュールや実際の進め方なども具体的に確認しておきましょう。ネットワークの質とマッチングの透明性が、信頼できる仲介会社かどうかの判断材料になります。
手数料や追加費用の発生条件
報酬体系は仲介会社によって異なるため、着手金や中間報酬の有無、成功報酬の料率などを明確に把握しておく必要があります。
また、交渉が中断した場合の費用清算や、弁護士や会計士といった専門家への支払いが別途必要かどうかも重要なチェックポイントです。料金体系が不透明なまま話を進めてしまうと、後になって想定外の費用が発生するリスクがあります。
守秘義務の取り扱い
売却を検討していることがスタッフや患者に知られてしまうと、不安や混乱が生じ、診療体制や職場環境に悪影響を及ぼす可能性があります。
そのため、「どのように秘密保持を徹底しているか」「候補先との交渉内容はどのタイミングで誰に開示されるか」などを具体的に確認しましょう。信頼できる仲介会社であれば、秘密保持の徹底や情報開示プロセスの明確化に力を入れているはずです。
仲介会社を最大限に活用する
「イグジット経営」の視点
仲介会社を探す前に「自院の磨き上げ」が必要な理由
良い状態での提示ができれば、それだけ質の高い買い手が集まるといえます。そのためにも、仲介会社を探す前に「自院の磨き上げ」が必要となります。具体的には、不採算部門を整理する、コストの削減などによって、より高い「算出価格」を引き出すことに繋げていきます。
良い担当者を見極めるための質問リスト
「良い担当者かどうか」を見分けるには、「過去に同様の診療科での成約事例があるか」「行政手続きのスケジュールを具体的に提示できるか」など、実務的な質問を投げかけてみることがおすすめです。また、数字(成約)はもちろんですが、院長の「リタイア後の人生設計」にまで耳を傾けてくれるかといった精神的な側面でもサポートを行ってくれるかも確認しておきたい部分です。
仲介会社に任せきりにせず、院長自らが「理想の出口」を描く
仲介会社にとってのゴールは「成約」ですが、院長にとってのゴールは「リタイア後の生活」です。そのため、仲介会社に全てを任せっきりにするのではなく、院長自らがどのような出口を望むかという「理想の出口」をしっかりと描いておいてください。例えば、スタッフの処遇や自身の引退時期、譲渡価格の優先順位などさまざまな面について前もって検討しておくことが大切です。
仲介会社を利用した
クリニックM&Aの流れと期間
相談から成約まで:平均「半年〜1年」のスケジュール
クリニックのM&Aは、相談から成約までの平均が半年から1年とされています。その内訳は、準備におよそ1ヶ月、マッチングに3〜6ヶ月、デューデリジェンスや契約に2〜3ヶ月かかることが一般的です。仲介会社は、この期間スケジュールの管理や行政との調整を行うなどしながら、スムーズに進めていけるようにサポートを行います。
秘密保持契約(NDA)の締結と情報漏洩リスクへの対策
クリニックのM&Aを進める上では、情報の取り扱いに注意する必要があります。そのため仲介業者とは厳密な秘密保持契約(NDA)の締結を行い、買い手を探す場合には「ノンネームシート(匿名情報)」で進めていきます。病院名を開示するのは、関心の高い候補者がNDAを締結した後のみといったプロセスを徹底することによって情報の漏えいを防ぎ、スタッフの離職や患者離れをできる限り抑えることが大切です。
医業M&Aでは、医療特有の許認可や地域との調整が不可欠なため、信頼できる仲介会社選びが成功の鍵を握ります。実績や対応力、秘密保持の徹底度などを事前に確認することで、トラブルを避け、安心して承継を進めることができます。手数料の安さではなく「医療に強いプロかどうか」を基準に選ぶことが大切です。

SAコーポレーション
12年クリニック運営を経験し、その後M&Aを行った宮﨑医師が、自分自身の経験をもとに、「医師が満足できる、幸せになれる医業承継を実現したい」とSAコーポレーションを設立。
十分な準備期間を経て、クリニックの価値を上げたうえで行うM&Aを提唱し、その情報発信やサポートを行っています。


