神経内科・脳神経内科
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この記事でわかること
- 神経内科・脳神経内科の医業承継における特有の課題と成功のポイント
- 慢性疾患患者の継続治療と診療方針の引き継ぎ方
- MRI・CTなど高額医療機器の評価とリース契約承継の注意点
- リハビリ施設や連携病院との関係維持による地域医療体制の継続
神経内科・脳神経内科では、「慢性疾患管理の継続性」「高額医療機器の評価」「リハビリ連携」など、他の診療科とは異なる課題が生じやすい傾向があります。
神経内科・脳神経内科の承継・M&A動向
全国の医療施設全体で見ると、診療所数は微増傾向にあります。厚生労働省「医療施設動態調査(令和7年4月)」によると、一般診療所は105,266施設と前月より58件増加。地域医療の受け皿としてその役割を広げていることがわかります。
一方、神経内科・脳神経内科はMRIやCTなど高額医療機器を備えるケースが多く、設備投資と維持費の負担が大きい診療科です。慢性疾患患者の長期フォローを担うため医師の専門性が求められますが、後継者不足や経営継続への不安を抱える開業医も少なくありません。
厚生労働省「令和4年 医師・歯科医師・薬剤師統計」によれば、神経内科・脳神経内科に従事する医師は全国で約7,000人前後と推定され、そのうち60歳以上が約4割を占めています。
このような人材構成の高齢化と設備コストの高さが重なり、近年は事業承継やM&Aによる経営のバトンタッチを検討するケースが増えています。地域の慢性期医療を途絶えさせないためにも、専門性を継ぐ承継体制づくりが急務になっています。
出典
医療施設動態調査(令和7年4月末概数)│厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/m25/is2504.html)
令和4(2022)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況│厚労省(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/22/index.html)
神経内科・脳神経内科の承継の特殊性
高額検査機器の評価とリース・借入の承継
神経内科・脳神経内科の承継では、MRIやCTなどの高額検査機器が大きな論点になります。これらの設備は診療の信頼性を支える一方で、リース契約や借入残高が譲渡価格へ直結するため、財務上の透明性が欠かせません。承継時には、稼働率や更新サイクルを含めた「実質的価値」を算出し、負債を適正に反映させることが重要です。
慢性期疾患患者の継続治療と患者離れの防止策
神経内科では、認知症やパーキンソン病など慢性期疾患を抱える患者が多いので、治療の継続性維持が承継の成否を左右します。主治医の交代時には、薬の変更や診療方針の違いに不安を抱く患者が離れてしまうケースも少なくないため、現院長と後継医師の治療理念を早期にすり合わせたうえで、段階的に引継ぎと説明を行うことが必要となります。
リハビリテーション施設・関連病院との地域医療連携の引き継ぎ
神経内科・脳神経内科では、リハビリ施設や関連病院との連携が診療の質を支えているため、承継時にこの関係が途切れると、紹介ルートや在宅支援体制が崩れ、患者ケアの継続性に影響が生じます。主要な連携先への適切な引継ぎは、患者との信頼関係を維持させるための重要なプロセスです。
神経内科・脳神経内科の承継を成功させる3つのポイント
「長期フォローアップ」を担保する診療方針の合致
神経内科・脳神経内科の承継では、認知症やパーキンソン病など慢性期疾患の長期フォローアップ体制が重視されます。現院長と後継者の診療方針が異なると患者は不安を抱きやすく、場合によっては通院の継続にも影響が生じるおそれがあるので、診療理念や治療方針を事前に共有して患者にわかりやすく伝え、主治医交代後の信頼維持へとつなげるようにしましょう。。
高額検査機器の「実質価値」と「負債」の適正評価
MRIやCT、脳波計などの高額医療機器は、神経内科・脳神経内科にとって欠かせない診断基盤ですが、承継時には、リースやローン残高を正確に把握し、譲渡対価へ適正に反映させる必要があります。また、稼働実績や更新予定も加味した「実質的価値」を算出することも重要です。
主要な連携先との関係を引き継ぐ
神経内科・脳神経内科では、脳神経外科やリハビリ専門病院、地域包括支援センターなどとの連携が診療の質を支えています。承継後にこの連携が途切れてしまうと、以後の紹介体制や地域ケアネットワークが損なわれるおそれもあるので、主要な連携先に対しては丁寧に後継者の紹介と引継ぎをおこなってください。
神経内科・脳神経内科の適正評価の算出方法
「純資産+営業権」で算出されるクリニックの価値
医業承継の価格算定は、「純資産」と「営業権(のれん代)」の合計で構成されます。
純資産には設備や運転資金などの実物価値が含まれ、貸借対照表から比較的明確に把握できます。一方の営業権は、安定した患者数や地域での信頼度など、数値化が難しい要素で評価されます。
神経内科・脳神経内科の場合、慢性期疾患を抱える患者が多く、定期的な通院が続く点が営業権評価を高める要因です。
高額機器の「実質価値」と負債を正確に把握する
MRIやCTなどの高額医療機器は、導入時の価格と現時点の市場価値に乖離が生じやすい資産です。承継時には、簿価やリース・ローン残高を確認するだけでなく、稼働率や耐用年数を考慮した「実質的価値」で評価することが重要です。
過大評価による損失や、過小評価による不当な譲渡を防ぐためには、会計士やM&Aアドバイザーなどの専門家による資産調査を併用し、更新費用も含めた総合的な判断を行う必要があります。
デューデリジェンスでリスクを可視化する
適正な評価には、資産だけでなくリスクの把握も欠かせません。未払い賃金、簿外債務、訴訟の可能性など、帳簿上に現れないリスクが承継後の経営を圧迫することがあります。
潜在的なリスクの洗い出しには、契約書や登記情報、リース契約、職員雇用契約などを細部まで確認するデューデリジェンス(資産・法務調査)が有効です。見落としを防いでリスクを数値化することで、初めて「適正評価」と呼べる価格が導き出されます。
神経内科・脳神経内科のM&A・承継の手順
譲渡価格決定・候補者探索
最初のステップは、クリニックの資産価値と営業権を考慮した譲渡価格の算出です。MRIやCTなど高額設備の評価や安定患者数による将来収益も加味し、クリニックの適正評価額を設定します。つぎに、医業承継に理解のある買い手候補をリストアップします。理念に共感し、かつ地域医療を継続できる相手を優先的に検討します。
基本合意
候補者との方向性が一致した段階で、譲渡価格やスケジュール、条件面を定めた基本合意を締結します。神経内科・脳神経内科では、患者データや診療体制の引継ぎでは、倫理面への配慮も必須です。後にトラブルとならないよう、機密保持契約を交わして慎重に情報開示を進めます。
デューデリジェンス(DD)
デューデリジェンスとは、買い手が実施する資産・法務・労務の詳細調査のことです。たとえば、リース契約やローン残高、未払い給与、訴訟リスクなどの潜在的リスクを洗い出すプロセスです。
神経内科・脳神経内科では、患者カルテの取り扱いに細心の注意が必要です。法令遵守を徹底し、一定の限定下で情報提供することが大切です。
最終契約
DDの結果をもとに、最終的な譲渡価格や条件を確定させます。引き継ぎ期間中の役割分担や患者説明の方法を明文化するとともに、契約書には設備やスタッフの引継ぎ範囲も明記することが望ましいでしょう。
クロージング
最終契約後、譲渡対価の支払いと同時に経営権を移転します。並行して、患者への案内や関係機関への届出、スタッフへの説明など、実務的な調整も必要です。
神経内科・脳神経内科では通院継続の患者が多いため、院長交代後も一定期間は旧院長がサポートするべきでしょう。
神経内科・脳神経内科のM&A・承継の懸念事項と対処法
専門機器・地域連携の調整は早期対応が鍵
MRIや脳波計などの高額機器を保有する場合、リース会社や保守契約先との名義変更を怠ると、後々のトラブルに発展しかねません。譲渡交渉の初期段階から関係各所へ説明し、契約や支払いの整理を進めておきましょう。地域医療連携先との関係についても、丁寧に引き継ぐ姿勢が信頼維持につながります。
法務・行政手続きと患者データの引継ぎ
承継では、診療所開設者の変更や保健所への届出を確実に行う必要があります。また、患者データの引き継ぎについても、個人情報保護法に基づく適切な管理が求められます。これらを疎かにすると承認遅延や法的トラブルを招くおそれがあるため、専門家と連携して一つ一つ丁寧に進めていきましょう。
スタッフの安心が患者の信頼を守る
承継では、職員への告知タイミングや雇用契約の扱いに配慮することが大切です。リハビリスタッフなどが雇用継続に不安を抱いて離職へとつながらないよう、労働条件を明確にして、一人ひとりに対して誠実な説明を行うことが大切です。
M&A・承継の信頼できる専門家の選び方
M&A仲介会社
医業承継におけるM&A仲介会社は、買い手候補の探索や条件交渉を担う中心的存在です。ただし、仲介形式によっては利益相反が生じることもあるため、契約形態を事前に確認することが大切です。医療専門の仲介会社を選び、かつ現院長の側に立って動いてくれる担当者かどうかを見極めましょう。
弁護士
医療承継における弁護士は、契約書作成や法的リスクの回避支援を受け持ちます。特に診療所の開設者変更や個人情報の引き継ぎなど、医療法・個人情報保護法に関わる論点が多いため、医療分野のM&A経験がある弁護士を選ぶことが望ましいです。法務監査や契約交渉など、早期の段階から弁護士に関与してもらうようおすすめします。
税理士
医療承継における税理士は、譲渡益課税や設備の減価償却、営業権評価など、財務面での最適化をサポートする立場です。特に医療法人の場合、会計処理の特殊性や繰越欠損金の扱いに注意が必要なので、一般的な税理士ではなく、医業承継に精通した税理士に支援を依頼することが重要です。
信頼できる専門家とともに後悔のない承継を
神経内科・脳神経内科の医業承継を成功させるためには、早期の準備と適切な専門家の支援が欠かせません。特に、医療機器の契約や患者データの引き継ぎなど、承継には専門的な判断が必要な場面が多くあるので、M&A仲介会社・弁護士・税理士などの専門家の知見を組み合わせることで、リスクを抑えながら慎重に手続きを進めましょう。
経営の出口を見据えた準備を進めることが、地域医療を守りながら次世代へとバトンをつなぐ第一歩です。承継を検討し始めた段階で専門家への無料相談を活用し、まずは現状の課題整理から始めてみましょう。
SAコーポレーション
12年クリニック運営を経験し、その後M&Aを行った宮﨑医師が、自分自身の経験をもとに、「医師が満足できる、幸せになれる医業承継を実現したい」とSAコーポレーションを設立。
十分な準備期間を経て、クリニックの価値を上げたうえで行うM&Aを提唱し、その情報発信やサポートを行っています。



SAコーポレーション
M&Aは悪ではありません。問題は、医師の知識不足につけ込み、利益を優先する業者の存在です。特に神経内科・脳神経内科では、高額なMRIやCTなどの設備契約が絡むため、適切な仕組みを理解しないまま承継を進めると、不利な条件を受け入れてしまうおそれがあります。
売却側の医師の立場を守るためには、M&Aの専門家と対等に交渉できる体制づくりが欠かせません。そのためには「イグジット経営」という考え方が有効です。譲渡先探しの前にクリニックの価値を高め、理念や診療体制を整える3年間の準備期間を設けることで、真に納得できる承継を目指す考え方です。
イグジット経営に関する詳細は、以下の公式HPをご確認ください。