呼吸器内科
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この記事でわかること
- 呼吸器内科の承継・M&A動向(医師数の少なさを踏まえた現実的な見立て)
- 専門医の確保や診療ノウハウ移譲で押さえるべきポイント
- スパイロメーター等の専門機器を資産価値と運用状況まで含めて整理する考え方
- 在宅医療や介護施設との連携体制を途切れさせない引き継ぎ設計
- 価格算定、手順、懸念事項と対処法、相談先までの承継の全体像
呼吸器内科は、急性増悪への対応や緊急往診など、他の診療科と比べて体力的・精神的な負担が大きい領域です。承継を成功させるには、これらの診療特性を理解した上で体制づくりを進める必要があります。
呼吸器内科の承継・M&A動向
減少する施設数と限られた専門医
呼吸器内科を診療科目に持つ一般診療所は、2023年時点で7,514施設。2020年の7,625施設から111施設減少し、地域で頼れる医療機関が増えにくい状況が続いています。
一方、医療施設に従事する医師のうち、主たる診療科が呼吸器内科の医師は2022年に6,992人(全体の2.1%)。2020年の6,728人からは増加していますが、全診療科に占める割合は依然として低く、呼吸器内科医の絶対数が少ない状況に変わりはありません。
高まる継続支援のニーズ
平均寿命が高くなり、在宅酸素療法や呼吸リハビリテーションなど、長期的な継続支援を必要とする患者が増えています。これらの患者にとって、かかりつけ医の突然の閉院は生活に大きな影響を及ぼします。
承継・M&Aを検討する際は、専門医が希少であるという前提に立ち、診療の継続体制や地域連携先の引継ぎを早い段階から計画的に整理しておくことが重要です。
出典:令和4(2022)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況│厚労省https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/22/index.html
令和5(2023)年医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概要│厚労省 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/23/dl/11gaikyo05.pdf
呼吸器内科の承継の特殊性
専門医確保が難しいため後継者探索が長期化しやすい
呼吸器内科医の絶対数が少ない中、専門医資格を持つ医師となるとさらに候補が限られます。後継者候補が承継を判断する際には、外来枠の設定、検査対応の体制など、具体的な診療体制を明示しておくことが効果的です。
また、紹介元の医療機関や近隣病院との関係性も、診療の継続性を左右する重要な要素として、丁寧に引き継ぐ必要があります。
検査機器の状態が承継価格を左右する
スパイロメーターやモストグラフなどの呼吸機能検査機器は、承継時の資産評価に直結する重要な設備です。型番、導入年、保守点検や校正の履歴を一覧にまとめ、ソフトウェアの更新状況やリース契約の有無も整理しておきましょう。
実際の稼働頻度や検査の流れも記録しておくと、後継者が現場での運用をイメージしやすくなり、スムーズな引継ぎにつながります。
在宅・施設連携を途切れさせない仕組みづくり
在宅酸素療法や慢性呼吸器疾患の管理では、訪問看護ステーションや介護施設との連携が診療の要です。担当窓口や連絡フローを可視化し、夜間対応の範囲や緊急時の連絡体制も明確に共有しておくことが大切です。
また、酸素供給業者や検査委託先との契約内容も事前に整理しておくと、承継後も患者への継続的なケアを滞りなく提供できます。
呼吸器内科の承継を成功させる3つのポイント
専門医の確保と診療ノウハウの継承を同時に進める
呼吸器内科の専門医は限られているので、後継者探しには医師ネットワークを持つ医療承継サービスや仲介会社の活用が現実的です。
後継者が決まったら、吸入指導や急性増悪時の対応など、日々の診療で培ったノウハウを手順書として整理しましょう。可能であれば共同診療期間を設けることで、患者との関係性も含めて自然な形で引き継ぎを進めるようおすすめします。
医療機器は「資産価値」と「実際の使われ方」の両面から評価する
スパイロメーターなどの専門機器は、帳簿上の価値だけでなく、実際の運用状況が承継価格に影響します。機器の種類、導入年、減価償却の状況、保守点検や校正の履歴をリスト化し、月間の稼働頻度や検査の流れも記録しておきましょう。
老朽化した機器がある場合は、更新計画を準備した上で譲渡条件に反映させることで、価格交渉を円滑に進められます。
地域連携とスタッフの継続意思を早期に確認する
地域の医療機関や介護施設との連携体制は、承継後の診療継続を左右する重要な要素です。紹介ルートや連絡フロー、契約や委託の条件を整理し、後継者へスムーズに引き渡せる状態にしておきましょう。
同時に、スタッフが承継に前向きかどうかも確認が必要です。各スタッフの役割分担や継続意思を共有して院内の不安を軽減する配慮が、承継の成否を分ける大切なポイントにもなります。
小見出し:知識の差を利用する業者を避け、想いを継ぐ承継を目指す
医業承継では、「仲介会社の勧めるまま契約したら、買い手に有利な条件だった」という後悔の声が少なくありません。このような事態が起きる背景には、売り手と買い手を同じ担当者が仲介する「両手型仲介」の構造的な問題があります。医師は医療のプロフェッショナルである一方、法律や金融の交渉は専門外というケースが多く、業者との間で知識の差が生まれやすくなっています。
呼吸器内科は、医療機器や検査運用、在宅医療や施設連携まで引継ぎ事項が多岐にわたります。勢いだけで決断すると、後継者との間に認識のズレが生じかねません。
だからこそ、譲渡先を探す前に「診療体制」「組織運営」「収支状況」を整え、自信を持って託せる状態をつくる準備期間が重要です。3年程度の計画で医院の価値を高め、地域医療を継続できる形を設計していく道筋。これが「イグジット経営」の考え方です。
呼吸器内科の適正評価の算出方法
基本は「純資産+営業権」で価格の土台をつくる
譲渡価格は、「純資産(資産−負債)」を基礎として組み立てます。そこに、将来的に利益を生み出す力を反映した「営業権(のれん)」を加えて、全体の価格を固めていきます。
まずは現預金、未収金、医療機器などの資産と、借入金や未払金といった負債を洗い出し、実態に即した数字へ調整します。その上で、直近の収益動向や診療体制の安定性も加味しながら、妥当な価格レンジを検討していきます。
呼吸器内科の営業権は「患者の継続性」と「地域連携」が鍵
呼吸器内科では慢性疾患の継続管理が診療の中心となるため、安定的に通院している患者数が営業権を支える重要な要素です。また、再診率の高さや季節による患者数の変動幅、吸入指導などの診療フローが標準化されていること、近隣病院や介護施設、訪問看護ステーションとの連携体制が整っていることも、営業権を評価する大事なポイントです。連携先の一覧や紹介ルートを明示できれば、それだけで評価材料として有効です。
専門機器は帳簿上の価値と実際の価値の差を調整する
スパイロメーターやモストグラフ、CTなどの専門機器を、帳簿上の残存簿価だけで評価すると実態とのズレが生じます。中古市場での取引相場、保守契約の有無、校正履歴、実際の稼働状況によって、機器の真の価値は変わります。
導入済みの専門機器については、型番や導入年、故障歴、ソフトウェアの更新状況を整理し、必要に応じて更新計画も示しましょう。後継者の不安を先回りして解消することが、価格交渉を円滑に進めるコツです。
呼吸器内科のM&A・承継の手順
譲渡価格決定/候補者探索
まず、財務状況と患者動向を整理し、純資産と営業権の概算から譲渡価格の目安を設定します。呼吸器内科では季節による患者数の変動や再診率も重要な指標です。
専門医資格を持つ医師の数は限られているので、医師ネットワークを持つ承継サービスを複数活用しながら、幅広く後継者を探すことが現実的です。
基本合意
譲渡範囲、引継ぎ期間、スタッフの雇用継続、設備更新の考え方などの基本条件を、基本合意書で固めます。独占交渉期間や解約条件も明記しましょう。検査枠の運用、急性増悪時の対応体制、在宅医療や施設連携の継続条件まで書面化しておけば、後のトラブル防止につながります。
デューデリジェンス(DD)
医業承継におけるDDとは、財務面や法務面、レセプトデータ、診療体制、診療圏などの特性を詳しく調査する手続きを言います。CTやスパイロメーター、モストグラフなどの保守・校正履歴、委託検査の契約内容も確認対象です。
在宅酸素の供給業者との契約や紹介先医療機関との取り決めまで洗い出し、承継後の負担やリスクを明確にしておくことが重要です。
最終契約
最終契約では、譲渡価格、譲渡資産の範囲、雇用の承継条件、競業避止義務、引継ぎ支援の内容を確定させます。表明保証や違約時の対応についても整備しましょう。
高額医療機器の故障時対応や更新費用の負担、リース契約の解約条件なども契約書に明記し、責任の所在を明確にしておくことが大切です。
クロージング
クロージングで名義変更や代金決済を実行し、診療を中断することなく新体制へと移行します。電子カルテや予約システムの整備状況も確認したうえで、スタッフ説明会を開いて各自の役割を共有しましょう。
患者への周知、紹介状のやり取り、在宅医療や施設連携などの窓口を新体制に接続し、検査運用も早期に定着させます。
呼吸器内科のM&A・承継の懸念事項と対処法
高度な医療機器の老朽化・陳腐化
スパイロメーターや呼吸機能分析装置、CTなどが老朽化している場合、後継者は更新費用を見込んで慎重な判断をするので、譲渡側としては、型番や導入年、校正履歴を機器リストにまとめ、現状を正確に伝えることが大切です。
譲渡価格に反映させるか、あるいは修繕・更新計画を事前に提示することで、後継者の費用的な不安を解消させましょう。
診療範囲・集患の偏り
喘息やCOPDなど特定の疾患に患者が集中していると、後継者は「診療の幅が狭く、経営の柔軟性に欠けるのでは」と懸念する場合があります。
実際には一般内科や他診療科にも対応してきた実績があればそれを示し、地域のさまざまな医療ニーズに応えてきたことを伝えましょう。風邪や生活習慣病など日常的な疾患への対応頻度も具体的に提示できれば、後継者の不安を軽減できます。
利益・譲渡額の妥当性
呼吸器内科では高額な医療機器を使った検査が収益の柱となるケースが多く、後継者は「機器が老朽化したら利益を維持できるのか」「更新費用を考慮すると譲渡額が妥当なのか」などの懸念を持つことがあります。
この懸念への対策として、第三者による企業価値算定を活用し、機器の資産価値と将来の収益貢献を分けて説明できるようにしておきましょう。客観的な根拠を示すことで、価格交渉がスムーズに進みやすくなります。
M&A・承継の信頼できる専門家の選び方
M&A仲介会社
相手探しから条件整理、交渉、スケジュール管理まで、承継プロセス全体をサポートします。呼吸器内科では専門医の確保や医療機器の評価が重要な論点なので、同診療科での成約実績と医師ネットワークの有無を確認しましょう。
両手型仲介か片手型仲介か、手数料体系と解約条件、デューデリジェンス支援の範囲、担当者の医療分野への理解度なども面談で見極めること、また、複数社を比較検討することも大切です。
弁護士
弁護士は、契約書の作成・レビューを通じて表明保証や違約条項、競業避止義務、個人情報保護、雇用承継などの法務面のリスクから依頼者を守ります。
呼吸器内科では高額医療機器の故障対応や更新費用、リース契約の解約などがトラブルになりやすいので、これらを契約条項として明文化することが重要です。基本合意の段階から同席してもらい、医療法人・個人の責任範囲まで踏まえて交渉できる弁護士を選びましょう。相性の確認も大切です。
税理士
税理士は、譲渡益課税や役員退職金、消費税、医療法人の持分処理、承継スキームの違いなど、税務面の設計をサポートします。月次で実態利益を把握し、営業権(のれん)算定の根拠も整理してもらいましょう。
設備投資が大きい呼吸器内科では、減価償却の状況と更新計画の見立ても重要なポイントです。譲渡価格や退職金の設定など、試算の前提条件を早めに面談で確認し、実際の手取り額や税負担を抑える方法を具体的に検討することをお勧めします。
呼吸器内科の承継は「準備」で成否が分かれる
呼吸器内科の医業承継では、専門医の確保、医療機器の適正評価、在宅医療や介護施設との連携維持が重要な課題です。
承継を成功へと近づけるためには、診療ノウハウの手順化や機器リストと更新計画の整備、紹介先やスタッフ体制の引継ぎ設計を、譲渡先探しの前に固めておくことが重要です。価格や条件の交渉では、知識の差を利用する業者に主導権を握られないよう注意が必要です。
まずは現状の整理から始め、医業承継に詳しい仲介会社、弁護士、税理士に早めに相談しましょう。納得できる形で地域医療をつなぐために、計画的に準備を進めていくことをお勧めします。
SAコーポレーション
12年クリニック運営を経験し、その後M&Aを行った宮﨑医師が、自分自身の経験をもとに、「医師が満足できる、幸せになれる医業承継を実現したい」とSAコーポレーションを設立。
十分な準備期間を経て、クリニックの価値を上げたうえで行うM&Aを提唱し、その情報発信やサポートを行っています。


