開業医の引退年齢
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- 開業医が「引退」を意識し始める年齢とその背景
- 平均的な引退年齢のデータ|開業医と勤務医との違い
- 引退年齢を決めるための3つの軸|健康・経済・生活
- 引退までに取り組むべきロードマップと引退準備のタイミング
「引退」を意識する年齢について
50代後半を過ぎるころから、「あと何年、今のペースで続けられるだろうか」と考え始める開業医は少なくありません。夜間対応の疲れが抜けにくくなったり、診療後の消耗が激しくなったりといった身体のサインが、引退という言葉を現実的に意識させるきっかけになります。
とはいえ、気持ちがあってもすぐに踏み出せないのが実情です。長年通ってくれる患者や共に働くスタッフへの責任、さらに完済していない設備ローンなど、引退は個人の決断であっても、その影響は自分一人にとどまらないからです。
本記事では、開業医の引退年齢の実態や考え方を整理したうえで、具体的な引退準備のロードマップをご紹介しています。「まだ先の話」と遠ざけず、将来に向けて今の状況を確認するきっかけとして、ぜひ読み進めてみてください。
開業医の「平均的な」引退年齢と実情
勤務医の場合は病院や法人の定年に準じ、60歳から65歳を区切りに退職するのが一般的です。
対して、開業医には定年が存在しません。日本医師会の調査によれば、開業医の引退予定年齢の平均は73.1歳で、厚生労働省のデータでは開業医の約4人に1人が70歳以上。これらのデータからも、勤務医に比べて開業医は10年ほど長く現役を続ける傾向にあることが分かります。
ただし、「働ける年齢」と「無理なく働き続けられる年齢」が必ずしも一致するわけではありません。診療科によっても事情は異なり、体力的な負担が大きい外科系は早めに区切りをつけるケースが目立つ一方、内科や小児科、皮膚科などは比較的長く診療を続ける傾向があります。
そのため、単に「何歳でやめるか」という数字にとらわれるのではなく、「何歳までどんなペースで働くか」というライフプランの視点を持つことが、納得できる引退への第一歩になるでしょう。
参照URL:https://digikar.m3.com/articles/opening/article51/
https://clius.jp/mag/2024/12/04/clinic-doctor-retire/
引退年齢を決める3つの軸
引退の時期は、単に「体がもつかどうか」という一点だけで決まるものではありません。健康・経済・生活という3つの軸を整理すれば、自分にとって現実的な引退年齢が見えてきます。
健康・体力の軸
夜間対応や往診、急患への対応など、開業医の仕事は体力的な負担を強いられる場面が少なくありません。まずは現在の診療スタイルにおいて、自身にどれほどの負荷がかかっているかを客観的に見直してみましょう。
その上で、健診の結果や持病の有無、家族環境なども踏まえながら5〜10年後を想定し、自分が今と同じペースで働き続けられるかを具体的にイメージしてみてください。体が十分に動くうちに働き方を変える判断ができれば、結果として患者やスタッフへの影響を抑えることにもつながります。
経済的な軸
引退後の生活を支えるための資金計画を立てる際、まずは年金や貯蓄、資産運用といった一般的な備えを整理することが不可欠です。それに加えて、クリニックを第三者に承継したり売却したりすることで得られる資金も、重要なリソースとして視野に入れておく必要があります。まずは老後の生活費や医療費、住居費などをおおまかに試算し、そのうえで「何歳までフルタイムで働き続ける必要があるのか」という現実的なラインを確認しましょう。
なお、開業医の場合、国民年金の期間が長くなる傾向があることから、勤務医に比べて公的年金の受給額が少なくなりやすい点には注意が必要です。
地域・家族との関わり方の軸
引退といっても、「完全に仕事を辞める」ことだけが唯一の選択肢ではありません。日本医師会の調査によれば、承継後も非常勤や嘱託といった形で医療に携わり続ける医師が一定数存在することがわかっています。週に数コマの診療や顧問的な関わりなどを通じ、段階的に仕事を減らしていく形も現実的な選択肢になるでしょう。
「仕事を減らした先に何をしたいか」をイメージすることも大切です。配偶者との穏やかな時間、家族の介護、長年後回しにしてきた趣味など、引退後の時間の使い方を具体的に考えておくことが、リタイア後の生活の充実感に直結します。
引退までのロードマップ
引退は、ある日突然決断して実行できるものではありません。いつかを「その時」と漠然と待つのではなく、早い段階から逆算して動いておくことが、患者やスタッフ、そして自分自身にとって穏やかな着地につながります。以下の「○年前」はあくまでも一例ですが、引退に向けたロードマップの目安として参考にしてください。
10年前:引退時期のイメージと現状の整理
まずは「何歳ごろに引退したいか」というおおよその目安を持つことから始めましょう。時期の目安が決まれば、借入金の返済スケジュールや今後の設備投資計画も逆算して組み直すことが可能になります。
また、この時期から「第三者に譲渡できる、あるいは承継してもらえる医院」の状態を意識して、カルテの整理や経営数字の可視化、スタッフ体制の安定化に取り組んでおくことが大切です。10年という歳月があれば、日々の診療をしながらも着実に準備を進めることができます。
5年前:後継者の検討と実務的な棚卸し
後継者の目途がある程度立っている場合は、この時期に具体的な打診を開始しましょう。承継の形は親族や院内の勤務医への譲渡だけでなく、M&Aによる第三者への譲渡も含め、選択肢は一つではありません。
あわせて、不動産の契約内容や医療機器のリース残期間の確認など、承継・売却に向けた実務面での棚卸しも並行して進めておきます。後継者が見つかってから慌てるのではなく、見つかる前から体制を整えておく姿勢が重要です。
3〜1年前:実行フェーズと引退後の設計
承継・売却・閉院のいずれかの方針を固め、具体的な実行フェーズへと移行する時期です。患者やスタッフへの告知タイミングと伝え方を慎重に吟味しつつ、税理士や社会保険労務士、承継コンサルタントとの打ち合わせも本格化させましょう。
同時に、引退後の生活設計も具体化しておくことをおすすめします。長年仕事に打ち込んできた医師ほど、診療から離れた後に喪失感を覚えるケースは少なくありません。非常勤での診療継続やボランティア活動など、「完全に辞める」以外の関わり方を事前にイメージしておくことが、引退後の充実感に直結します。
まとめ
開業医が引退を考えるうえで何より大切なのは、単なる「年齢」という数字にとらわれることではなく、「どのような状態で次の世代へバトンを渡すか」という視点を持つこと。早い段階から準備に着手すれば、患者やスタッフへの影響を抑えつつ、自分自身も心にゆとりを持って次のステージへと移行できるでしょう。
まずは一度、現在の資産状況や健康状態、そして日々の働き方の三点を客観的に整理してみてください。自分では「まだ先の話」と思っている時期こそが、実は具体的な準備を始めるのに適したタイミングかもしれません。専門家への相談や家族との率直な話し合いの場を設けることが、納得できる引退に向けた第一歩となります。
SAコーポレーション
12年クリニック運営を経験し、その後M&Aを行った宮﨑医師が、自分自身の経験をもとに、「医師が満足できる、幸せになれる医業承継を実現したい」とSAコーポレーションを設立。
十分な準備期間を経て、クリニックの価値を上げたうえで行うM&Aを提唱し、その情報発信やサポートを行っています。


