スタッフや患者への影響は?M&A後のリアル
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この記事でわかること
- 医業M&A後の現場で実際に起きる変化とその影響
- スタッフの雇用条件や不安への対応方法
- 患者への説明のタイミングと信頼を守る工夫
- M&Aを円滑に進めるために必要な事前準備や専門家の関与
M&A=“突然の終了”
ではない、引き継ぐプロセス
廃業と承継の決定的な違い
廃業は診療機能を止め、スタッフの雇用も終了する「終わり」の選択です。一方、M&Aによる医業承継は診療体制やスタッフ、患者との関係を維持したまま、新たな体制に移行するプロセスです。これによって地域医療の継続が保証され、承継先とも長期的な信頼関係が築かれます。
何をどう引き継ぐのか
M&Aによる医業承継は、単に「クリニックの経営権を渡す」だけではありません。不動産や医療機器といった「目に見える資産」だけではなく、診療スタイルや患者との信頼関係、スタッフの働き方やチーム文化といった「見えない資産」まで含めての引き継ぎです。
たとえば、診療時間や予約枠、看護師や受付スタッフの対応の流れなど、日常の細かなオペレーションも継続されることで、患者やスタッフが不安なく新体制に移行できます。また、前院長が一定期間残れば、その橋渡しも自然な形で行なえるでしょう。
段階的なプロセスの大切さ
M&Aは「突然変わる」のではなく、段階的に進めることで周囲への影響を最小限に抑えられます。特にスタッフや患者への説明は、順序やタイミングに配慮することで不安や混乱を避けられます。また、後継者と一定期間診療を共にすることで、自然な形での引き継ぎが可能になり、「急に知らない医者が来た」という印象を与えずに済みます。
このように、移行期間をしっかり設けることがM&A成功のカギです。
スタッフの雇用はどうなる?
よくある質問と答え
雇用条件は引き継がれる?
スタッフの雇用条件は、承継契約の内容によって引き継がれるケースが多いと思われます。特に、診療体制や労働環境を維持する方針でM&Aが行なわれるケースでは、給与や勤務時間なども現状どおり継続されるのが一般的です。
スタッフの不安を最小限に抑えるには、事前に「どこまで確約されているか」を明示し、必要に応じて書面で確認することが大切です。情報の透明性が安心感につながります。
待遇が変わる可能性は?
基本的には現状維持が多いのですが、経営方針や規程の違いによって待遇が変わる可能性もゼロではありません。それが一方的なマイナスになるとは限らず、給与体系や福利厚生が改善されるケースもあります。
「どの条件が引き継がれ、どこに変更の可能性があるのか」を確認し、必要があれば事前に交渉しておくことで、スタッフが安心して働き続けられます。
文化の不一致が心配
医業承継において、譲渡希望の院長先生が最も懸念されるのは、経営主体が変わることによる現場のハレーションです。給与などの条件面以上に、新しい院長との「診療方針」や「職場の雰囲気」の乖離は、スタッフの離職を招く大きな要因となります。
だからこそ、金額条件の交渉だけに終始せず、自院の理念や文化に深く共感してくれる相手を慎重に選ぶことが、長年支えてくれたスタッフの雇用と平穏を守るための手段となります。
スタッフの不安を防ぐには?
スタッフを不安にさせないためには、「伝える順序」と「説明の質」が大切です。大前提として、一般スタッフへの開示はあくまで最終譲渡成立後速やかに実施しましょう。まずは院長から直接方針を説明し、それから説明会や個別面談などの場を設けるのが効果的です。そこで質疑応答の機会があれば、疑問や不安を解消しやすくなります。
「そのうち話そう」と後回しにせず、最終譲渡成立後、速やかに、正確な情報を伝えることで、スタッフとの信頼関係を守れます。
患者さんへの説明は
どうすればいい?
患者さんが一番不安に思うこと
M&Aによって院長が交代する際、患者が気にするのは「担当医が変わるのか」「これまでの治療を受けられるのか」といった点です。特に長年通院している患者にとっては、担当医との信頼関係が治療の安心感に直結しており、その変化には敏感です。
「診療時間は変わりますか?」「スタッフも変わりますか?」という質問もよく寄せられます。こうした声にどう応えるかも、承継の成否を左右する要素になり得ます。
説明のタイミングと方法
患者への開示や説明についても、最終譲渡成立後、スタッフへの周知が終わってからが基本です。あまり早く伝えても内容が固まっておらず不安を煽ることになり、遅すぎると「聞いていない」と不信感を持たれます。待合室の掲示や告知文、診察時の口頭説明などで丁寧に案内を行なうのがいいでしょう。
「〇月より新しい体制になりますが、これまでと同様の診療を継続します」といったように、患者の心情に寄り添った印象を与える言葉を選びましょう。
患者離脱を防ぐための工夫
M&A成立直後に前院長が完全に姿を消してしまうと、患者さんは「急に知らない先生に変わった」と強い不安を感じ、他院へ流出してしまうリスクが高まります。説明だけではなく、診療の現場での「変わらなさ」を体感してもらうことも大切です。
たとえば、数ヶ月から1年程度の「顧問」や「非常勤」として前院長がクリニックに残り、新院長と一緒に診察を行う「並走期間」を設けることが有効です。ベテランの先生から直接紹介を受けることで、患者さんは安心して新しい主治医を受け入れることができ、実際の診療体験を通じて「このクリニックは変わらない」と感じてもらうことができるはずです。
「ちゃんと伝える」ために
必要な準備
スタッフ向けの準備
スタッフには、「これから何が起きるのか」「自分たちにどんな影響があるのか」といった疑問に答える必要があります。まずは給与や勤務時間など、雇用条件を可視化し、変更の可能性がある部分も含めて事前に丁寧に整理しておきましょう。
また、どのような点に不安を感じているのかを事前にヒアリングし、その声を受け止めることで信頼関係が深まります。何より、「聞かれる前に答えておく」という姿勢がスタッフの安心感につながります。
患者向けの準備
患者には、院内掲示や診察中の口頭伝達など、複数の接点を通じて情報を伝えていく必要があります。あらかじめ告知のスケジュールや文面を準備しておけば、混乱を防げるでしょう。
また、「新しい院長の名前は?」「診療時間は変わりますか?」など、想定される質問に対するFAQを用意しておくと、スタッフも対応しやすくなります。説明にブレがないように、スタッフが共有できる説明ガイドを整備しておくことも有効です。
専門家に相談しておくこと
医業承継では、雇用契約や労務対応、契約手続きなどで思わぬトラブルが発生することもあります。こうしたリスクを回避するため、早い段階で仲介業者や社会保険労務士などに相談し、進め方の確認や文書の整備を行なっておくべきです。外部の視点を取り入れることで、見落としがちなポイントにも気づけます。「誰に、何を、どう伝えるか」を整理する上で、専門家は心強いパートナーになってくれるでしょう。
相手選びのポイント
理念が一致するか
譲渡価格などの数字だけで相手を決めてしまうと、承継後に医療の質や患者さんへの接し方で現場が混乱し、結果としてクリニックの評判を落とすことになりかねません。自院がこれまで大切にしてきた「地域医療への想い」を正しく理解し、敬意を持って引き継いでくれる相手かどうかを見極めることが重要です。志を同じくする後継者を選ぶことが、最終的に患者さんとスタッフの利益を最大化することにつながります。
専門家を入れる意義
承継のプロセスでは、雇用条件の維持や守秘義務の徹底など、当事者同士では直接切り出しにくいシビアな交渉が多々発生します。間に経験豊富な専門家が介在することで、感情的な対立を回避し、客観的な視点から冷静に議論を進めることが可能になります。専門家による適切な交通整理があるからこそ、院長先生は最後まで診療に集中でき、スタッフや患者さんを第一に考えた「三方よし」の承継を実現できるのです。
スタッフや患者を守りながら譲ることはできる
最初に準備を始めるのが肝心
医業承継は、ある日突然決断するものではありません。大切なのは、「いつか必要になる」と思ったときから少しずつ準備を進めることです。引き継ぎの計画があれば、スタッフや患者への説明も慌てずに済みますし、何より自分自身が落ち着いて判断できます。
「いつ言うべきか」で悩む前に、「どう進めていきたいか」を可視化しておくことがスムーズな承継につながります。
専門家と一緒に進めれば大丈夫
承継には、経営・雇用・診療体制など多くの要素が関わります。開業医が一人で抱え込まず、第三者である専門家のサポートを受けることで、「誰に何を伝えるか」「いつ、どのように進めるか」を整理しやすくなります。
特に、言いにくいことや感情が絡む場面では、第三者が介入することで場が和らぎ、冷静に対応できるようになるでしょう。自分の思いを言語化し、関係者と共有するためにも、外部の力を借りることは大きな支えになります。
「守る」承継の進め方は?
「スタッフや患者を大切にしたい」という思いを形にするのが、「守る承継」という考え方です。そこでは診療方針の引き継ぎだけではなく、雇用の継続や通院環境の維持など、「残す」ことを前提とした計画的な「イグジット経営」が求められます。
イグジット経営とは単に後任を探すという意味ではなく、自分の医療をどう未来につなげたいのかを言語化し、それに沿って選択を重ねていくプロセスです。先を見据えた準備が、周囲への思いやりに満ちた承継を実現させます。
医業M&Aは「突然変わる」ものではなく、段階的に引き継ぐことでスタッフや患者の不安を最小限に抑えることができます。診療体制や雇用条件を継続し、丁寧な説明と信頼関係の維持を意識することで、安心して新体制へ移行できます。専門家の助言を得ながら準備を整えることが、承継の成功と地域医療の継続につながります。

SAコーポレーション
12年クリニック運営を経験し、その後M&Aを行った宮﨑医師が、自分自身の経験をもとに、「医師が満足できる、幸せになれる医業承継を実現したい」とSAコーポレーションを設立。
十分な準備期間を経て、クリニックの価値を上げたうえで行うM&Aを提唱し、その情報発信やサポートを行っています。


