診療所の「辞め時」とは?
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この記事でわかること
- 医師の定年は勤務形態によって異なる
- 年齢や体力、経営面など、さまざまな「辞め時のサイン」がある
- 辞め時の決断を必要以上に引き伸ばすと、さまざまな影響が出てくる可能性が考えられる
医師に定年はある?
医師に定年はあるのか?と疑問を持つ人もいるかもしれませんが、定年の年齢は「公務員(勤務医)」「民間病院(勤務医)」「開業医」といった勤務形態により異なります。
まず「公務員(勤務医)」ですが、具体的には国公立系の大学病院や公的病院の医師は公務員に含まれ、また国立病院機構の病院に勤務する医師は「みなし公務員」として、公務員に準じた待遇を受けます。公務員の定年は原則60歳ですが、病院や療養所、診療所に勤務する医師や歯科医師等の場合、特例により65歳が定年とされています。
また民間病院(勤務医)では、各病院の規定によって定年が決定されており、多くのケースで60歳または65歳に設定されているところが多いとされていますが、中には定年制度そのものを撤廃している場合もあります。
開業医については法的な定年が存在しないため、引退する年齢は個人の判断に委ねられます。
診療所の「辞め時」を知らせる具体的なサイン
年齢や体力、健康への不安を感じた時
医師にとって、自分の健康と体力は診療を行う上で非常に重要なポイントになってきます。年齢を重ねるうちに、長時間の外来診療や夜間の診療などが、負担として感じられる場面が増えてくるようになります。そのような中で、健康診断で何らかの異常を指摘される、診療中に疲労を感じる場面が増えてきた場合には、体が警告信号を出しているともいえます。その信号を無視して診療を続けることにより、ミスが発生するリスクが高まる可能性も考えられます。
経営面での不安を感じた時
クリニックを経営する中で、売り上げの減少傾向が見られた場合には経営面に関して不安を感じることになります。かつては患者数も多く経営が順調だったとしても、周りに新たな医療機関が開業した、地域の人口減少、患者の高齢化などさまざまな影響により、患者数が徐々に減っていくケースもあります。それに対して、人件費や設備維持費などのコストは年々上昇傾向が見られます。
収支を確認した際に、以前は利益が十分に得られていたのに近年は収益が減少してきたと感じる、借入金の返済が重荷に感じてきたといった状況があれば、辞め時を考えるサインであるといえます。
将来への不安を感じた時
親族に医師がいない、医師免許を持っていたとしても診療所を引き継ぐ意思がないなどの場合には、将来の不安を感じることになります。また長年経営を行う中では、ベテランスタッフが退職やスタッフの採用がうまくいかないといった状況になると、クリニックの先行きが不透明になってきます。
後継者やスタッフの体制に見通しが立たない状況が続いているのであれば、辞め時を検討することにつながる可能性があります。
辞め時の決断を先延ばしにするリスク
突然の休業や閉院によるリスク
もし体力や健康面に不安がある中で無理に診療を続けていると、院長自身が急な病気に倒れてしまい急遽閉院せざるを得なくなるケースもあります。その場合、通院している患者の転院先の確保や紹介状の作成ができず、長年通ってくれた患者を「医療難民」にしてしまう可能性が考えられます。また、スタッフも突然の解雇となり、その後の生活が不安定になるかもしれません。
そして、院長の家族が閉院に伴う多額の費用や手続きなどを背負わなければならなくなるといったように、さまざまな方面に影響を及ぼします。
診療所の「資産価値(譲渡価値)」の低下
引退する時期を引き延ばしているうちに、診療所の患者が減少していく「衰退期」に入ってしまい譲渡したくても買い手が見つからない状態になるリスクも考えられます。クリニックを承継する場合、通常は「現在の患者を引き継げる」という点が大きなメリットとなりますが、衰退期に入るとそのメリットを享受しにくくなります。
診療所の辞め時を感じた際の選択肢
勤務医やスタッフへの院内承継
まず考えられるのが、自分の診療所で働いている副院長や勤務医やスタッフに引き継ぐ「院内承継」です。既存の設備やスタッフをそのまま引き継げますし、患者もそのまま通院を継続できることから、地域の医療を維持できるといったメリットがあります。また、一緒に働いてきた医師やスタッフがそのまま経営を行うため、理念などを引き継ぎやすい面もあります。
第三者への医業承継(M&A)
親族以外の第三者へ承継を行う方法もあります。外部から幅広く承継先を探せるため、周りではなかなか引き継ぐ人が見つからない場合に有効な方法と考えられます。患者にとっても通院先がなくなることもありませんし、スタッフの雇用を守ることもできます。
また診療所の価値が損なわれない時期に譲渡を行うと、創業者利益を得て引退できるメリットも挙げられます。
計画的な閉院(廃業)
後継者がどうしても見つからない場合には、計画的に閉院(廃業)する選択肢もあります。閉院を選択した場合には、テナントの原状回復や医療機器の処分、スタッフの退職金などにより、多額のコストがかかる点に加えて、さまざまな手続きが発生するため、計画的に準備することが大切です。
診療所の辞め時について解説をしてきました。診療所の経営を辞める場合には、院内承継や第三者承継、閉院といったようにいくつかの選択肢がありますが、いずれを選ぶとしても「限界が来てから」ではなく「余力があるうちに」決断して段階的に準備を進めていくことが重要であるといえます。
SAコーポレーション
12年クリニック運営を経験し、その後M&Aを行った宮﨑医師が、自分自身の経験をもとに、「医師が満足できる、幸せになれる医業承継を実現したい」とSAコーポレーションを設立。
十分な準備期間を経て、クリニックの価値を上げたうえで行うM&Aを提唱し、その情報発信やサポートを行っています。


